ぼやぼやしていてすっかり観るのが遅くなってしまったポリティカルスリラー映画の「消されたヘッドライン」(State of Play)。スティーブのブログがどれくらい映画に登場するのかを公開が終わってしまう前に大画面で確認しなくちゃと、週末に慌てて観に行った。ありました。ありました。
ワシントンDCの裏通りで殺された少年の事件を追うベテラン記者カル(ラッセル・クロウRussel Crowe)と、地下鉄のホームから転落死したスタッフと下院議員との不倫スキャンダルを追う新米記者のデラ(レイチェル・マクアダムスRachel McAdams)が、映画の序盤に初めて会話するシーン。
スキャンダルの渦中にいるコリンズ議員(ベン・アフレックBen Affleck)がカルの大学時代の友人なので、編集長(ヘレン・ミレンHelen Mirren)に言いつけられたデラがカルに質問しに来る。
デラが去り、その後にカルがインターネットでコリンズ関連記事を検索する。
おおーっ! でたーっ!
そう。そこでスティーブの"The Washington Note"が登場するのである。
ただ、スクリーンに映るのは前回紹介したこちらの画像ではない。
実はうっかり目を皿にするのを忘れ、気づいたときには次のカットに変わっていたためロゴを確認できなかったのだが、デラがカルのキュービクルに近づいていく時にパソコンに映っているベン・アフレックの写真がまさにこれと同じものだった。なので、ひょっとしたらそれがまさに"The Washington Note"の初登場シーンかもしれない。本当にそうだったかどうかはDVDが発売になるまでは確認しようがないが、まあ、どちらもまばたきのタイミングが悪ければ見逃すくらいほんの一瞬の出来事だ。
しかし、ブログの登場を確認したわたしは、登場シーンが映画の序盤だったのでほっとした。
と言うのは、わたしにとってのスリラー映画の醍醐味は、主人公が悪者の陰謀を暴こうと核心に迫ってすんでのところで難を逃れたり、悪者に殺されそうな大ピンチに陥りつつも機転と幸運ですり抜けたりといったハラハラシーンを、映画館に座ってコーラをすすりつつポップコーンをほおばりつつ、心臓の鼓動だけを高めて高見の見物することだからだ。
そんなドキドキはらはらがたっぷりのスリラーで、スクリーンにパソコンの画面が映るたびに友達のブログを見つけようと目ん玉見開いて肉眼スキャンしていたのじゃ映画にはらはらする暇がない。
ところが、序盤の肉眼スキャンで眼精疲労してぼーっとしてしまったのか、その後の主人公達のピンチにドキドキはらはらした記憶があまりないのだ。
いや、エレベーターのシーンではドキッとしたし、洗濯カゴが登場するシーンにもチビリそうなくらいはっとした。
でも、二転三転するストーリー展開に「またドンデンしちゃうの?」と驚きはしたものの、息を飲み、鼻息が荒くなり、脈拍が上がるくらいたっぷりハラハラしただろうか?
カルとデラは次第に事件の陰に潜む国家の安全をも揺るがす大きな陰謀に気づいて核心に迫るのだが、今考えるだに恐ろしいその陰謀が案外あっさりと語られているせいで危機感と恐怖感がうすぼんやりしてしまった気もする。それに足を引っ張られてハラハラ度もちょいと下がった気もする。
ボーンシリーズのトニー・ギルロイ(Tony Gilroy)の名前を脚本家陣の中に見つけてからというもの、この映画への個人的な期待は高くなりすぎていたようだ。(しかし後でわかったが、ギルロイはちょっぴりリライトしただけだったんだそうな。)
脚本で思い出したが、この映画は撮影に入るまではかなりすったもんだがあったらしい。情報通ならご存知だろうが、もともとラッセル・クロウの役はブラッド・ピット(Brad Pitt)が演じる予定だった。
しかし、原作となった2003年のBBCのミニシリーズに忠実なストーリー展開で映画を作りたいと望んでいたブラピと、同じじゃつまらないと思っていた監督との間にちょっとした衝突があり、撮影直前でこれは自分が出演すると約束した映画じゃないからとブラピが降りてしまったのだ。普通なら、監督とブラピの両者が納得するような脚本にリライトするところが、ちょうどハリウッドの脚本家組合のストと重なってしまってリライトはできない。そのため撮影は延期。ブラピの後釜としてすぐにラッセル・クロウが決まったが、今度はコリンズ議員を演じる予定だったエドワード・ノートン(Edward Norton)が撮影時期が他の映画とかぶってしまって降板。ベン・アフレックが替わりに議員を演じることになる。
撮影が延期されたので、映画の中で一番おいしい台詞をたくさんもらった新聞社の編集長を演じたヘレン・ミレンも出演できるかどうか一時は危なかったらしい。
ブラピが脚本に求めたのがもっとビンビンのサスペンスだったのかどうかは定かではないが、この映画は面白いポリティカルスリラーではあるものの、わたしにはちょっとハラハラ不足、陰謀の恐ろしさの描き方不足の「惜しい」出来の映画だ。もっともそのせいで、元のテレビシリーズをかなり見たくなったのも事実で、早速アマゾンでお買い上げしてしまった。
しかし、その惜しい映画を「あー、見て良かったなー。もっぺん見たいなー」とわたしに思わせたのは脇役を演じるジェイソン・ベイトマン(Jason Bateman)だ。
登場シーンはさほど多くないのに、彼が演じるドミニク・フォイという男はその中で天国から地獄までのフルコースをジェットコースターのスピードで経験する。フォイの心理の変化はまるで昆虫を観察しているかのようで見ていて飽きない。しかも、ただの嫌な奴になりがちなこの役をベイトマンは実にコミカルで憎みきれない人間味のあるキャラクターとして演じているもんだから、彼がスクリーンに映るたびについつい視線を彼に置いてにんまりしてしまうのだ。
いやはや、まさにシーン泥棒。
脇役ベイトマン、イカしてるぅー!
* 「消されたヘッドライン」の公式サイトはこちら
[Data]
Directed by Kevin Macdonald
Produced by Andrew Hauptman, Tim Bevan, Eric Fellner
Written by Matthew Michael Carnahan, Tony Gilroy, Peter Morgan, Billy Ray, Paul Abbott (TV series)
Starring Russell Crowe, Ben Affleck, Rachel McAdams, Helen Mirren, Robin Wright Penn, Jason Bateman, Jeff Daniels
Music by Alex Heffes
Cinematography Rodrigo Prieto
Editing by Justine Wright
Distributed by Universal Pictures
US Release date April 17, 2009
ポチリとお買い上げしてしまったBBC TV ミニシリーズ "State of Play"Directed by Daved Yates
Written by Paul Abbott
Starring Stuart Goodwin, Gregory Poorman, Lucy Allen, David Morrissey, Finn Atkins
(2003)
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