6/23/2009

CGだけは本気なの♥「トランスフォーマー/リベンジ」

「いやー、あのくだらないストーリーと、本気のCGのギャップがいいんだよねー」

ある友人が映画「トランスフォーマー」(Transformers)シリーズの魅力をこう語った。

そりゃそうでしょうとも。「ザ・ロック」(The Rock)に「アルマゲドン」(Armageddon)のマイケル・ベイ監督作品だもん。人生について考えさせる物語や、入り組んだ謎につつまれたお話を求めるほうが間違いというもの。善悪がはっきりした単純明快なストーリーと、浅くて底までクリアに見えるキャラクター、まるでコマーシャルのようにやたらめったらスタイリッシュな映像がトレードマーク。その3つのコンビネーションで大ヒットを飛ばす娯楽超大作を作れるマイケル・ベイ様を、我が家では最大級の尊敬の念を込めて「ミスター」のかわりに「ファッキン」と頭につけて呼んでいるくらいだ。

その「ファッキン」マイケル・ベイ様が前作よりもCGの本気度とストーリーのくだらなさ度をアップして作ったのがこちら「トランスフォーマー/リベンジ」(Transformers: Revenge of the Fallen)。

CGの本気度がいかほどかはオープニングの戦闘シーンを見たらすぐにわかる。

新しく登場するオートボット達の紹介もかねてしょっぱなにトランスフォーマーの善玉と悪玉との軽い戦いが披露されるのだが、この映像が「バットマン ビギンズ」(Batman Begins)の冒頭の戦いシーンよりもよく見えない。
「バットマン ビギンズ」では手持ちカメラ風のカメラワークと早すぎるカット割り編集のせいで何がどうなってるんだかさっぱりわからなかったが、「トランスフォーマー/リベンジ」ではオートボットとディセプティゴンががっぷり四つに組んでのこったのこったしようもんなら、何が映っているんだかもはや人間の視力では判別がつかないのだ。時々「ほら、今映っているのはこれですよー」と動体視力の低い人間用にスローモーション映像を挟んでいることからして、いかに人間の視力を基準に作っていないか、そのCG本気満開度がうかがえる。

そして、ストーリーのくだらなさ度も半端じゃない。

東部のアイビーリーグの大学に入学することになったサム(シャイア・ラブーフShia LaBeouf)が荷物をまとめていると、2年前のオートボットとディセプティコンとの戦い時に着ていたパーカから、キューブのかけらを発見する。
そのかけらをガールフレンドのミカエラ(ミーガン・フォックスMegan Fox)に預け、大学へと向かうサムだったが、しかし、そのかけらから謎の知識をもらってしまったサムとかけらを持つミカエラを狙うディセプティコンにより、二人はまたしてもトランスフォーマー達の戦いに巻き込まれるのである。
しかもエジプトで。

どうして2年前の汗と泥とホコリにまみれた服を洗濯もせずにクローゼットにかけっ放しにしていたのかとか、なぜ危険物をガールフレンドに預けて自分は大学に行っちゃうのかとかそういう細かいところに突っ込んではいけない。

実際、突っ込みどころは山のようにあるが、それもアイスクリームバンのドアに書かれた文字や、サムが入学する大学の寮の部屋に貼ってある映画のポスターや、サムの母ちゃん(ジュリー・ホワイトJulie White)がナイーブにも何だか知らずに食べてぶっ飛んじゃうハッシュブラウニーや、シーモア・シモンズ(ジョン・タトゥーロJohn Turturro)のケツと同じく、一種のギャグなのである。(たぶん。)

しかし、CGの本気度もストーリーのくだらなさ度も前作よりパワーアップしているというのに、なぜかこいつは面白くないのだ。

いったい前作と何が違うというのだろう?

それはずばり、タカラトミーへのリスペクトとキャラクター深度5センチだとわたしは見る。

そもそも、「トランスフォーマー」シリーズはまずタカラトミーのおもちゃ在りきの映画。タカラトミーのおもちゃが大ヒットしたアメリカで、おもちゃを元にした漫画やアニメが作られ、それが「ファッキン」マイケル・ベイ様によって実写映画シリーズになった。

その昔、トム・ハンクス(Tom Hanks)主演の名作コメディ映画「ビッグ」(Big)で、ある朝起きたら30歳になっていた13歳の少年が、おもちゃ会社の企画室で「ビルがロボットに変身しても面白くない」と先輩社員の企画に駄目だしするシーンがある。

彼が言うとおりビルがロボットに変身しても面白くないのだが、ところがどっこい車がロボットに変身すると途端におもちゃにロマンが加味されて俄然面白くなるのである。

だからタカラトミーのトランスフォーマーが人気があるのであって、5月に発売されたキャラクター商品なんか、車からロボットに変身させるまでにどこをどういじくれば良いのか動画を見て習わねばならないくらい複雑な(まあ映画を見ていてもいったいどこがどうなったら車がロボットになるのか良く見えないんだけど)大人仕様で、その変身度がわたしの少年心をくすぐるのである。

でも、少年心をくすぐる車からロボットへトランスフォームするシーンが映画には少なくて、「タカラトミーへのリスペクトが足りないんじゃないの?」とインナー少年マインドはかなり不満を持つのである。

もともと浅いキャラクター達の深みも限りなくゼロに近くなってしまったのもいけない。
前作では脇を固めるキャラクター達が少なくとも5センチくらいの深みのバックストーリーをもらい、なおかつ大活躍する場面ももらっていたのに、今回はその5センチと活躍シーンがばっさり削られているのだ。
バンブルビーの上半身をレッカー車にくっつけて、敵を倒すために車を逆走させるミカエラちゃんとか、まだ見ぬ子どもを守るため、妻子の元に帰るためにバイクで敵と戦うアメリカ軍の男前レノックス(ジョシュ・デュアメルJosh Duhamel)を覚えているだろう?
バンブルビーだって、前作では声が出ない原因や子犬っぽいキャラクターが自然に表現されていたのに、続編のこの映画では未だに声がでない原因はミカエラの台詞一言であっさり片付けられているのだ。

浅くて底まで見えるキャラクターがマイケル・ベイ印ではあるものの、深度が0になってしまうと、くだらないストーリーが生きずになんだかよく見えない本気のCGだけがやたらと目立ってしまうということだろう。

となると、この映画で見る価値が残されているのはただ1つ。

そう、CMのようにスタイリッシュな映像でお送りするミーガン・フォックスである。
ぐちゃぐちゃして何が映ってるんだか、どこを見れば良いんだかわからない映像が多いこの映画で、唯一安心して視線を置けるのがミーガン・フォックスの美しいボディ。

彼女扮するミカエラちゃんの登場シーンは、ヘテロセクシャルのメスのわたしでさえ、思わず前のめりになるほどセクシーだ。今にも陰からマルボロマンが現れてタバコを売ろうとするんじゃないかと思うほど、その登場シーンのカットは絵に書いたようにCMっぽい。

彼女のボディが映らず、お顔のクローズアップになっている時でも見るべきフォーカルポイントはちゃんと用意されている。

その鋼鉄のまつ毛だ。

ミカエラちゃんのまつ毛は爆風にぶっ飛ばされようと、どんなにホコリだらけになろうと一向にへこたれる気配を見せず完璧な上向きカールをキープ。いやはや、いったいどこのマスカラを使っているのか知らないが、あのまつ毛が一本あれば、キューブのかけらだってディセプティコンだって簡単に破壊できるんじゃなかろうか?

オプティマスにそうこっそり耳打ちしたかったのに、善玉と悪玉のトランスフォーマーが必死になって戦っているのを見ても、どっちがオプティマスなのか、オプティマスの耳がどこなのか全く判別がつかず、耳打ちなんてできないやとあきらめざるを得なかったわたしである。


*「トランスフォーマー/リベンジ」オフィシャルサイトはこちら

[Data]
Directed by Michael Bay
Produced by Steven Spielberg, Lorenzo di Bonaventura, Ian Bryce, Tom, DeSanto, Don Murphy
Written by Roberto Orci, Alex Kurtzman, Ehren Kruger
Starring Shia LaBeouf, Megan Fox, Josh Duhamel, Tyrese Gibson, John Turturro, Julie White, Voices: Peter Cullen, Hugo Weaving
Music by Steve Jablonsky, Linkin Park
Cinematography Ben Seresin
Editing by Roger Barton, Paul Rubell, Joel Negron, Thomas Muldoon
Studio DreamWorks Pictures, Paramount Pictures, Hasbro, Di Bonaventura Pictures
Distributed by Paramount Pictures
Release date Japan: June 19, 2009, US: June 24, 2009



トランスフォーマー スペシャル・コレクターズ・エディション (2枚組) [Blu-ray]

トランスフォーマー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

0 comments:

コメントを投稿