7月14日はHBO Films の"Grey Gardens"のDVD発売日だ。全米では4月18日にオンエアになったテレフィーチャーフィルムの"Grey Gardens"、わたしは既に何度も見ているのだが、オタクの性として当然DVDもお買い上げ予定。
この映画についてはまた別のところで詳しく紹介するつもりだが、今わたしを悩ませているのはこの映画が日本で公開あるいは放映される予定ってあるんだろうか、ってことだ。
いや、そもそもメイズルス兄弟(注1)の名作ドキュメンタリー映画"Grey Garedens"を、いいかげんどこかが公開してくれないもんだろうか?
実は映画・演劇の天下の東宝様が11月にシアタークリエでブロードウェイミュージカル「グレイ・ガーデンズ」を大竹しのぶと草笛光子主演で上演するので、それに合わせて元のドキュメンタリー映画とHBOの映画を公開してくれれば良いのになーと思っていたのだ。
だって、東宝と言えば
映画・演劇などの質の高い娯楽を大衆に広く提供することを使命として小林一三翁により創立(注2)
された会社だ。
演劇は東宝ご本尊様が、洋画の輸入と配給は子会社の東宝東和株式会社が、映画の興行は子会社のTOHOシネマズ株式会社がやるという、おおまかに言えば「分業」をしているわけだが、そうは言っても小林翁の意思を受け継いで現在に至るグループ企業なのだから、映画部門と演劇部門との間で何らかの協力体制があるのではないかと素人は考えたのだ。
しかも、東宝は1953年初演のブロードウェイの大ヒットミュージカル「マイ・フェア・レディ」(My Fair Lady)を日本初のブロードウェイミュージカルとして1963年に翻訳上演し、翻訳ミュージカルのパイオニアとなった会社。(注3)
その東宝が今までに日本で上演してきたおなじみのラインナップとはちと毛色の異なるブロードウェイミュージカルを今回製作上演するのである。
その上、その元となったドキュメンタリー映画は名作の誉れ高くカルト的な人気を誇り、日本では商業的に公開されたことが無く(注4)、最近はハリウッドのスターで映画化されたという話題作なのである。
ミュージカルを見たら、メインキャラクターの二人のイーディに興味を持ち、元のドキュメンタリー映画を見たい、この二人の半生をドラマ化した映画を見てみたいと思うのが人情だ。
逆に映画を見たら「こいつをいったいどうやってミュージカルにしたんだ?」とものすごい好奇心が湧き出るはずなのだ。
だもんだから単純なわたしは、映画・演劇の東宝様が日本初上演ミュージカルのオープンと前後して映画も公開しない手はないだろう、片方の客をもう片方におびき寄せずしてどうする、と考えたのだ。
しかし、7月現在でドキュメンタリー映画もHBOの映画も公開の噂は耳に入らず、日本版のDVDリリースの噂も無いので、ミュージカルの上演を機会に映画を公開(あるいはDVDをリリース)という、わたしには至極素晴らしく思える戦略は検討されていない模様。
いや、もう7月も半ばなんだし、今から企画してもきっと遅いだろうってことは素人でもわかる。
いやはや、Grey Gardensオタクのわたしとしては、ミュージカルの上演を機にこのすばらしいドキュメンタリー映画の存在と不思議な魅力にあふれる二人のイーディ達の存在を日本の皆さんにも知っていただきたい、日本にグレイ・ガーデンズ旋風が巻き起これば良いと願っていたのだが、所詮はオタクのはかない夢。
旋風どころか、そよとも風が吹かないうちにシャボン玉のようにこわれて消えてしまいそうだ。
多分日本でたった1人のGrey Gardensオタクのわたしとしては、こうなりゃ自らドでかいシャボン玉を作って飛ばすしかないのだろうか?
注1:デイヴィッド・メイズルス(David Maysles)とアルバート・メイズルス(Albert Maysles)兄弟の名字は時々日本語で「メイスルズ」と表記されているが、最初のSが濁るのが正しいので(ヘーゼルナッツの「ヘーゼル」と似た音)「メイズルス」「メーズルス」あるいは「メイゼルス」「メーゼルス」と表記するのが良いと思うのだが、わたしはポピュラーでもある「メイズルス」表記で通している。
注2:東宝株式会社オフィシャルサイト、TOHOウェブサイトの「経営方針」より引用
注3:現在はミュージカルで有名な劇団四季も、東宝を追いかけるようにして1971年にブロードウェイミュージカル「アプローズ」(Applause)を翻訳上演するまではストレートプレイしか上演していなかった。
「アプローズ」はベティ・デイヴィス(Bette Davis)主演の映画「イヴの総て」(All About Eve)を元に作られたブロードウェイミュージカルで、ローレン・バコール(Lauren Bacall)主演で1970年にオープンし大ヒットを飛ばした。
2008年2月にニューヨークのシティセンターがアンコールシリーズとしてコンサート形式で上演し、その時主役のマーゴを演じたのがクリスティン・エバーソール(Christine Ebersole)。そう、ミュージカル"Grey Gardens"で二人のイーディを演じてトニー賞に輝いたあの人だ。
注4:わたしの素人調査による。どこかの素晴らしいセンスを持つ教育者が教育機関で上映していたかどうかまでは調べがつかなかった。もしもそんな素敵な教育者がいたのなら是非とも教えてほしい。熱くハグしに馳せ参じる所存である。
こちらがオリジナルのドキュメンタリー映画。Grey Gardens [DVD] [Import] (The Criterion Collection)
はっきり言って自慢だが、わたしが持ってるDVDはアルバート・メイズルス監督にサインしてもらった門外不出の家宝である。
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