11月7日から東京、日比谷のシアター・クリエで翻訳上演が始まるブロードウェイ・ミュージカル、『グレイ・ガーデンズ』(Grey Gardens)の製作発表が昨日行われた。なんと、Grey Gardensオタク代表(?)として、わたしもお呼ばれしてしまい、滅多に無いチャンスを逃してなるものかと、喜び勇んで会場に駆けつけた。
椅子が足りなくなるほど押し寄せた報道陣の多さにちょいとビビったが、「こっそり密かに」というオタクの掟に従い、報道陣の邪魔にならないよう、控えめに会場の後ろのほうから見物する。
1000を超える「ネコだいすき フリスキー」のネコ缶がそびえる壇上に、俳優達と演出家がずらぁ〜りと勢ぞろい。
たった90秒ではあるが、オリジナルのドキュメンタリー映画のフッテージが紹介された事に「よし、よし」と満足しながら、周りの反応をうかがう。
しかし、熱心にメモをとっている記者の後頭部を穴があくほど眺めても、どの頭に白髪が多いかはわかったが、その表情はやはり読めない。
こうなりゃ隣の記者のメモの量で判断するしかない。
おやおや、隣のお兄ちゃんは、美しい字でノート3ページにビッシリとメモをとっていらっしゃるじゃないか!
しめしめ。こりゃ興味津々ということに違いない。
ところで、司会者は最初に、クリスチャン・ディオールのデザイナーでもあるジョン・ガリアーノが、『グレイ・ガーデンズ コレクション』を発表したことがあるという話をした。そして、今から登場する大竹しのぶが、そのガリアーノのドレスを着て登場すると続ける。
おおっ!
ということは、2年前にパリコレでも評判になった、あのリトル・イーディルックで大竹しのぶが出てくるということか!
ドキュメンタリー映画の『グレイ・ガーデンズ』(Grey Gardens)にインスパイアされたガリアーノの2008年の春夏コレクションは、随分評判が良かったと聞く。
わたしも、特にこの3つのルックがお気に入りだ。
どれもリトル・イーディ感たっぷりで、右のルックはそのままそっくりモデルに着せてアメリカ版のVOGUE誌かHarpers Bazaar誌に掲載されていた。(すんません! 引っ越しの際に雑誌をごっそり捨ててしまったので、残念ながらどちらかわかりません!)
しかし、よく考えたらわかることなのだが、2年前に発表された服を主演女優に着せるはずも無く、大竹しのぶが着て登場したのは今シーズンのワインレッドのドレス。
個人的には真ん中のドレスを着た大竹しのぶを見たいと思ったが、ふんわりラッフルがあしらわれたワインレッドのドレスは、いまだに少女のようなイノセントな魅力を持つ(だからリトル・イーディ役にぴったりとも言える)大竹しのぶによくお似合いだった。
そして、「奇麗なドレスを着て登場するのは今日だけで、舞台上ではずっと半裸です」という草笛光子は、エメラルド・グリーンのエレガントなロングドレスで登場。
わたしの横に立っていた男性は、その草笛光子を見て、「ローレン・バコールみたいだ」という感想を漏らしていたが、これはまさにドンピシャの表現だ。
ところで、気になるのは日本版のミュージカル『グレイ・ガーデンズ』がどんなふうに作られるのか、ということ。
演出家の宮本亜門によると、ブロードウェイのオリジナルとは変わる、台本にも少し変更を加えた、とのこと。
正直に言うが、これを聞いてわたしが軽くショックを受けたのは事実だ。
「ええっ? あれを変えちゃうんですか?」
しかし、その後に続けられた説明を聞いてすぐに納得した。
曰く、ドキュメンタリー映画"Grey Gardens"のことを、日本の観客はアメリカの観客のようには知らない。
曰く、ドキュメンタリー映画がカルト的な人気を持つアメリカでは、ミュージカルの舞台で、主演女優がリトル・イーディの扮装をして登場するだけで拍手がわき起こるくらいで、そもそもリトル・イーディについてほとんど知られていない日本とは、バックグラウンドが全く違う。
曰く、なので、台本に手を加え、演出も大きく変えて日本の観客にみせる必要がある。
いやはやなるほど、そのとおりです。
まあ、わたしはだからこそ「オリジナルのドキュメンタリー映画を日本で上演してくれ〜!」と機会があることに叫び、ブタの貯金箱を横目で見ながらMaysles Filmsの担当者に日本での上映権について問い合せたりもしたのだが、さすが、演出家のアプローチはオタクとは一味違いますわい。
しかも、オリジナルのクリエイター達がOKを出したのだから、宮本亜門の考えは、彼らをもうなずかせる内容だったということでもある。
ほほう。
そうとなると、日本版への期待がかなり高まるじゃないか!
訂正:上で、製作発表で大竹しのぶが着たドレスは、2008年春夏のジョン・ガリアーノのものではなかったと書いたが、こちらでは2008年春夏のガリアーノのドレスと発表されていた。コレクションの写真の中には載っていなかったドレスだったので、てっきり今シーズンのものだと思い込んだのだが、コレクションで発表された服以外にもたくさん作られるのが普通でした。失敬!



ま~製作発表会に招待されたんですか!さすがセレブは違うわ!(笑)
返信削除で、でも「脚本に手を入れた」ですって~?
理由はわかるけど、でもなんでそれじゃそういう土壌のない日本で上演するかな~?M本さん、勝手に自分でいじくっちゃう癖があるからすご~く心配です。やっぱり私が懸念していた通りになっていますね。まあね、演出を変えるのはいいんですよ、それじゃないと演出家の意味がないじゃないですか(パクっただけで演出家の名前を出されるよりましだし)。でも脚本が改変されるだけでなく、改悪にならないことを祈ります。
(ちなみにカルトファンが多いのは東海岸なんです、西海岸はそれほどケネディ神話は濃厚とは思えません。でも西海岸での公演は台本に手を加えられたりしていませんでした)
@M本氏に不信を抱いている人さん
返信削除いや、セレブじゃありませんって! オタクですって!(笑)
本が改悪されるのは確かに心配ですよねー。なんせ、わたしも最初にその発表を聞いたときは、「ええっ?!」とショックを受けたクチですから。
でも、製作発表での話を最後まで聞いて、彼がどこをどう変えたいのかクリエイター側に説明をし、納得してもらったという印象を受けたので(まあでないと改変できないので当たり前ですが)、すぐにショックから立ち直りました(笑)
わたしの想像では、日本で育った者には名前を聞いただけでは誰かわからない人物や場所などの固有名詞に、ちょっとした説明を加えるとか、それともそれが何を指しているのかわかるような一般名詞に変えるのではなかろうかと睨んでいます。違うかなー。
>演出を変えるのはいいんですよ、それじゃないと演出家の意味がないじゃないですか
その通りですよね!
観客は、新しい演出家による新しい演出や解釈を体験しに行くのですから。
>パクっただけで演出家の名前を出されるよりましだし
コピーの舞台にしたいのであれば、演出も買う(または、オリジナルの演出家を雇う)のが筋ですな。
しかし、パクってコピーした演出に自分の名前をつけ、それがまかりとおるのなら、批評家の責任も大きいと言えます。
>西海岸はそれほどケネディ神話は濃厚とは思えません
西海岸ではケネディ神話はそれほどでは無いのですか。そりゃとてもまっとうなことに思えます。わたしもきっとGGのカルトファンになるのでしょうが、ケネディ一族に何のファンタジーも感じていませんし、わたしにとってのケネディ神話は、イメージ戦略の大成功例にすぎないんですよ。
わたしが愛しているのはあの母娘だけ!