ミュージカルについての詳細はそちらをご覧いただくことにして、こちらではその記事にも書いた『リトル・ナイト・ミュージック』の中でも一番有名な曲、'Send in the Clowns'を、歴代の女優達に歌っていただき、聴き比べすることにしよう。
最初はもちろん、1973年のミュージカル初演時にデジレ・アームフェルド役を作り出したグリニス・ジョーンズ(Glynis Johns)。ちなみに、ジョーンズはこのデジレ役でトニー賞を受賞している。
また、'Send in the Clowns'は、伸びやかに歌うのが得意でなかった彼女のためにソンドハイムが書きおろした曲だ。
お次は1977年の映画版で主演した、エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)。
デジレの昔の愛人フレデリック・エガマン役は、ブロードウェイの初演時にこの役を演じたオリジナルキャスト、レン・キャリオー(Len Cariou)。
上のジョーンズの動画にも出ている。
残念ながらこの映画のエリザベス・テイラーは、コルセットを締め上げすぎて失神しかけているのか、あるいは何かキメてるんじゃないだろうかと思えるくらい覇気が無い。
あの名女優が終始ぼーっとしていて、唯一ディナーのシーンで一瞬輝くものの、続くこの動画のシーンではその輝きも消えているのが残念だ。
3番目は1992年にグレン・クローズ(Glenn Close)がカーネギーホールでのコンサート、"Sondheim: A Celebration at Carnegie Hall"で歌ったもの。
コンサートバージョンなので、芝居の中の一曲として歌われたものと比べるのはどうかと思うが、そこはやはりトニー賞を3つも手にした大女優様。そんなことは全く感じさせないのである。
そして4番目は1995年のロンドン、ナショナル・シアターでの名演が大絶賛された、こちらも大女優のジュディ・デンチ(Judy Dench)様。
下の動画は残念ながらその時のものではなく、シアタープロデューサーであるキャメロン・マッキントッシュのキャリア30周年を讃える1998年に行なわれたガラコンサート、"Hey, Mr. Producer! The Musical World of Cameron Mackintosh"のものだが、これもコンサートで歌っているとは思えないほどシアトリカル。
そしてこちらは、現在ブロードウェイで上演中のキャサリン・ゼタ=ジョーンズが歌う'Send in the Clowns'の一部。
1973年にミュージカルが初演を迎えて以来、この曲は、泣くマフィアも黙るフランク・シナトラ(Frank Sinatra)や、映画007シリーズのテーマソングでおなじみの、ゴールドフィンガーなシャーリー・バッシー(Shirley Bassey)、甘い歌声で女どもをとろけさすビング・クロスビー(Bing Crosby)に、フォークシンガーのジュディ・コリンズ(Judy Collins)などなど、多くの歌手やミュージカル俳優に愛され歌われてきた。
わたしが一番最初に聴いたのはたぶん、うちにあるCDに収められていたシナトラが歌うバージョンか、あるいはバーブラ・ストライサンドが歌うバージョンのどちらかだ。
ストライサンドが歌うバージョンは他よりも少し長く、これはソンドハイムが彼女のコンサートと新しいアルバムのために新たに歌詞を一連を書き加えたからだ。
下の動画はその一連長いバージョンを歌うストライサンド。
そしてこちらは、通常バージョンを歌うストライサンド。
密かに「趣味がゲイゲイしい」と言われているストライサンド贔屓のわたしは、彼女が歌うバージョンが一番良いと思っていたが、ジュディ・デンチが歌うのを聞いて以来、この歌だけはデンチ版が一番だと思うようになった。
だって、見てるだけで泣けてくるのだ。
たかがYouTubeの動画ごときのちっぽけな画面というのに!
あー、1995年に彼女の舞台を観た人がうらやましくって仕方が無い。
せめてDVDになっていれば良かったのになー。
しかし、去年は怠慢ぶっこいて、ほとんど「ブロードウェイ観劇レポート」を書かなかったけれど、ここのところ3ヶ月続けてのアップ。("Memphys," "A View From the Bridge," "A Little Night Music")
ようし、今年はこの調子で行ってやれー!
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ジュディ・ヂンチのでノックアウトですね。
返信削除(私もMr.producer で聴きました)丁度その頃日本でもA Little night music を上演していて、Mr.producer でハートの電飾を着けてた方が演出でいらしてました。
稽古場やインタビューにお邪魔できる機会があり、お話しを色々聞いたのを覚えています。
日本で演じたのは麻美れいさんだったのですが、演出女史が何度も何度も「もっとDRYに歌って」「No Wet!」と繰り返し繰り返し指示されていたのが一番鮮明に残っています。
確かに日本語の訳でこのメロディーだと、ムーディーというか
演歌調というか...演出女史の言いたいことは凄くわかるのだけど、日本語の歌詞はDry に歌える用な譜割りには似合わないし、え~と色々と思いながらその場におりました。
日本では大変「ベタ」なキャスティングで、恋人役が細川俊之さんでした。ベタベタですね(笑)
日本でミュージカルをやる以上、訳の問題は勿論国民性や、演じる人の年代やら、とに角難しいことだらけなんですけど。
もっとDry に歌って!稽古場に響いてた言葉。思い出しましたので初コメしました。
Minnie
@Minnieさん
返信削除はじめまして!コメントありがとうございます。
やはりジュディ・デンチ様にはガツンとやられますね!個人的には彼女はこの役には年寄り過ぎで、どちらかというとマダム・アームフェルドなんじゃないかと思いますが、この歌を聴くとそんなことはもうどうでも良くなります(笑)
Minnieさんはジュリア・マッケンジーが演出したのをご覧になったのですね。「No Wet!」か〜。確かにこの歌をwetに歌うと、デジレのキャラクターが台無しになりそうです。自分の間違いに対して腹を立てて後悔している女が、それでも自分をふった男の前でみっともない真似をしたくないというプライドを保ちつつ、でもその怒りと後悔をにじみ出しながら歌う歌ですから。
わたしはこういう気持ちは万国共通だと思いますが、稽古場での貴重なお話を聞いて、歌詞の訳がどうだったのかなーととても気になりました。わたしも、日本で翻訳物を上演するのは難しいことだらけだと思いますが、中でも一番はやっぱり歌詞の訳だと思っています。必要な情報を漏らさないよう音に乗せるだけで難しいのに、それを美しい日本語にするのは至難の業でしょうね。
貴重なお話をありがとうございます!
Akimさん
返信削除手元に資料がなかったので(ハートの電飾をつけた方)と書いたのですが、即効理解して頂けて「流石」の一言です。
マッケンジー女史の演出法は物凄く、logical で彼女はとても
cleverな人で、インタビューの内容やこういう風に!という指示の語彙の豊かさに思わず「にやり」でした。
「将軍はpea brain な人なのよ」とか。
ALW がCats のグリザベラはジュディ・デンチが演じることを想定して書いたということはご存知でしょうか?
私もこれを最初に聞いたときは「え~」だったのですが、Mr.
Producer でデンチの歌を聴いたときに納得してしまったものです。訳は確か、仕事場を漁れば見つけられるかな~。でも結構ソンドハイムが怒るがな!的な訳だった記憶が(笑)
ソンドハイムは色々な意味で特殊なので、日本でやるときはあらゆる意味で訳者泣かせの役者泣かせですよね。[Company] とか。
今回、久しぶりにバーブラの歌うのも観た。これ、バーブラが私宅でチャリティーでやったOne Voice のですよね?
前説のロビン・ウィリアムスとかオーゼアスの顔ぶれの豪華さ
とか色々と好きで何度も何度も観たものです。
60min. でマイク・ウォレスのインタビューを受けたバーブラが面白かったですよ。
あ、話が尽きない(笑)
また!書きなぐりでごめんなさい~!!
PS 歌詞見つけました!でも歌詞って丸ごとブログに載せちゃうと、ダメなんですよね?確か?う~~~む。
返信削除Minnieさん
返信削除ジュリア・マッケンジーの舞台は一度も観たことが無いのですが、これについてはたまたま数ヶ月前に調べたばっかりだったので覚えていただけなんですよ。
グリザベラの役はもともとジュディ・デンチが演じる予定でしたものね。確か怪我のせいで降板して、結局エレイン・ペイジが演じることになったと何かで読みました。
バーブラの動画はそのとおり、"One Voice"のものです。「自宅でコンサートするって、スゲー」と当時は思ったもんです。
歌詞を掲載する件は、おっしゃるとおり著作権者の許可が無いとNGですね〜。